2006年06月15日
出来上がる軌跡vol:13~運命の一瞬
会社の同僚に言われながら、スーツを着て出勤した私・・・。
今日はいよいよ、例の本格的なオーディションの日(第二次審査)である。
退社後、走って向かった会場で目にしたのは
あっちもこっちも、TVやラジオで知られたお顔の人・・・。
しかもカッコイイ普段着である。
(スーツは完全に浮いている・・・(汗))
早くも後悔。
控え室で待ち、挑んだのは筆記テスト。
大阪の地名読みのテストであった。
因みに。。。。
①放出 ②立売堀 ③大物 etc...
といったようなもの。
(微妙でした、これも。・・・さらに後悔!)
次に、面接・・・
例の局長が登場。
「開局一番初めにかけたい曲は何?」
(芸が無さ過ぎて、ここには答えが書けません<陳謝>)
「アナタが最も好きなアーティストと曲は??」
(これは相当懸命に答えた!)
局長:「知らないなぁ・・・」 (ひ、一言でばっさりだぁ(泣))
さぁ次は、音声テスト
何と、前の方がしゃべっている内容が控え室にスピーカーで流れてくる。
ということは?!
ネタがかぶったら、もう使えない。
(み、みなさま、お、お上手だ・・・)
さぁ、私。
曲紹介→ミスターチルドレン♪イノセント・ワールド
私の発音→ミスターチュードエン ♪イノセント・ワーウヲ
(オマエは、どこの国の出身や!!)
最後に、ポラロイドをパチリ。
完全にふてくされた犯罪者の気分である。
一瞬で運命の日が通り過ぎると思っていたら、長い長い1日だった。
一瞬は、一瞬で終わらないのだ。
さて結果は???
次は、結果の前に一呼吸・・・。番外編⑥をどうぞ
2006年06月14日
出来上がる軌跡vol:12~書類審査結果やいかに?
だというのに、11月になっても連絡がない。
このときに事務所独自のルートがあるということを初めて知った。
私のカセットの声はそれを超えるほどの強いインパクトがあったとも思えない。
事務所に所属していないただのレッスン生は、日々のOL生活に戻った。
そんなある日、自宅の留守電に、「こちらまでお電話ください」と
例の放送局から男性の声で電話が入っていた。
ドキドキしながら、翌日の終業後急いで電話。
「オーディションにいらしてください。
日時はあさってなんですが・・・」
「は、はい・・・(どっどっどうなっちゃっているの!!!)」
やったぁ!書類審査を

その後、何をしゃべったか覚えていないが、望みは繋がったわけである。
それにしても、明後日とは急である。美容院の予約も無理・・・。
何より、普通に仕事をしているのだから、最終組のラストのラストにお願いするしかない。
何を着ていこうか・・・やっぱりスーツだろうか・・・
そしてとうとう運命のオーディション日を迎える。
それは電車の車内広告が目に留まってから、実に2ヶ月後のことだった。
次は 出来上がる軌跡Vvol:13~運命の一瞬(第二次審査オーディション) をどうぞ。
2006年06月13日
出来上がる軌跡vol:11~営業サミー
でも、それでいられるのも、マネージャーが私に代わってやってくださるから・・・。
今だからこそ、それが有難いと思える。
放送局の吊り広告をみて、咄嗟に私は「DJスタッフが要る」と感じ、
電話のメモを取ったわけだが・・・。
これがまた、どう電話して良いのか分からないのだ。
でも若さがこれをカバー(笑)
初の営業電話を、大胆にもかけるのである。
「あの~DJは募集していませんか?」(あ~本当に恥ずかしい

先方は、鼻で笑いながら「こういうことは、一応タレント事務所を通して募集しています。まぁ、興味がありましたら、声を掛けますので、デモテープを送ってください」
で、デモテープ???
そこで電話帳で、スタジオを探してデモテープの作成を依頼すると、
ぬぁんと! オペレーション(操作技術)つきで、2万円を超えるという。
しかも予約は一杯という。
(れ、レッスン料より高い・・・)
因みに、プロはサンプルCDを実費録音することを事務所が算段してくれる。
私にとっては、そのいずれも時間がなく・・・
とうとう、終電車が通りすぎた真夜中、
ぼそぼそと自宅のカセットデッキに向かって吹き込むことにした。
ついでに、例の初CMもくっつけたりして・・・。
出来上がったテープは、各事務所から届けられ
山のように積み上げられたテープ審査の中に、
私の雑音交じりのテープが紛れ込む・・・。
あまりに気の遠くなる光景を想像し、
私は意を決して、直接持ち込むことにした。
当時の局長と、営業課長と懇談。
「君は、どんな番組をやってみたい?」
「はい、深夜に甘いバラードのかかるようなゆったりしたものをやりたいです」
「音楽は好きなの?」
「はい、大好きです。」
そんな簡単なやり取りだった。
営業1日目は、押せ押せでなく感想を述べただけ。
「もう、このビルを訪れることはないな。。。」
何度も、ビルを振り返りながら、帰ったことを思いだす。
果たして、次の仕事は巡ってくるのだろうか??
次は、番外編⑤をどうぞ
2006年06月13日
出来上がる軌跡vol:10~大暴発
レッスンは3年を迎えようとしている。見渡すと続けている同期はわずかに数人。
「これが最後だろうか?」
レッスンでは、滑舌の基本を終えたら、フリートークや長文のナレーション、CM読みなど
実践を行う。このあたりからは、マネージャーからの一本釣りが行われ、
華々しくデビューを飾ったものもいた。
さて、オーディションの声がかかると、今の仕事の状態を尋ねられる。
完全な月~金OLは、蚊帳の外である。
ある日、私は課長とケンカ。
辞める理由を探す私は、とうとう何かが身体の中で暴発した。
最後の言葉「辞めます」だけを辛うじて飲み込んで・・・
帰りの鍼灸院のベッドの上で、ハリネズミのように針を一杯さされながら、
声を殺して泣く。そしていつしか爆睡。
先生曰く「ストレス溜まっているね・・・」
でも次の日、朝には同じ満員電車に揺られていた。
「あ~、また電車に乗っちゃったよ・・・」と
車内の吊り広告をぼんやり眺めると・・・
「間もなく開局!」
あるFM局の開局広告。私は、その連絡先を夢中でメモを取り下車。
課長への大暴発は、「辞めたい、そこに行きたい」という思いにつながり
一本の電話を局に架けることになるのだ。
次回は 出来上がる軌跡vol:11~営業サミー です
2006年06月12日
出来上がる軌跡vol:9~プチ・デビューそのとき・・・
課長によると、FM802とkissFMで
自社CMは深夜12時の時報を打つ直前CMとなるらしい。
疲れきって、明日のことを考えて早寝していた私も
この日は、正座でスピーカーの前にスタンバイである。
心臓がバクバクする・・・。
さぁとうとう、とうとう・・・
自分ではないみたいだ。
夢の第一歩です!
15秒はあっという間・・・。
またまた放心状態・・・。
冷静に録音を聴き直してみる。
にやけてくる。
それにしても、加工されたソレは、プロのお仕事(編集)で
CMになっているのである。
そう、そのときは私の未来は前途洋洋で、なんの曇りもない
澄み切ったものだった。
そうなれば、後はいかにプロになるか??
プロになったら何をやろう・・・?!
色んな妄想が膨らんだプチ・デビューの夜だった。
だが私は、これから違うことで寝不足になるのだった・・・。
次は、出来上がる軌跡vol:10~大暴発 です
2006年06月10日
出来上がる軌跡vol:8~本番ですよ、サミーさん!
いちOLが、今日はいちタレントである。
とうとう、ラジオCM収録の日がやってきた!
渡された原稿をみると、15秒が3本。
「3本??」
課長 「そう、ついでにいいかな?」
私 「私でいいんですか?」(うそでしょ、うそでしょ!ラッキー!)
私の出番。。。
収録ブース・ガラス窓の向こうから、マスターエンジニア(収録編集の方)の指示が
スタジオの中に返ってくる。
CMの背景だとか、伝えて欲しい内容の注文が細かくされる。
「それでは本番行きま~す」
一本目は、中国の会社。
BGMは、餃子の王将のテレビCMで流れているような音楽・・・
揚子江のようにゆったりとしたイメージときた。
(・・・どう考えても、私の場合はチャーハンって感じ。凹む)
「はい、オッケーです」
「えっ??」
ど素人だから、期待していないらしい。
次は、カリフォルニアの会社CM。
BGMは、ビーチボーイズ風。
キラキラの太陽が海を照らしてまぶしい!爽やか!・・・らしいぞ。
カタカナが言えない・・・。
あんなに手が震えたのは初めてである。
3度目にオッケー。
お次は、自社のCM。
一言
「わたしたちの国際電話」 セリフはこれだけである。
帰りは放心状態。。。
たった15秒なのに、満足するものはないのだ。愕然とする。
ただ、「声の仕事をする」「録音する」「加工される」という独特の雰囲気に
しびれてしまっていることは確か。
さぁいよいよ放送日が迫ります!恥をさらすのです!あ”~~
次回は、番外編④ で、しばしご休憩くださいませ。
2006年06月09日
出来上がる軌跡vol:7〜失敗??
誰よりも爽やかにいち早く電話を取る使命に燃えた。
長い社名を噛まずに言うだけのことが、かなり貴重だった。
今日も、爽やかに・・・
そんなある日、一本の電話。
それはどうやら隣の課(販売促進課)にかかるはずだったもの。
すぐに隣の課を案内し、電話をその課に回す・・・。
はい、ここまでは普通。
暫くその電話で話していたその課の課長が、私を呼ぶ。
「ん、何か失敗したかな???」
「君の声で、先ほど電話してきた会社のラジオCMをうちでお金を出して
作ろうと思う。やってくれるか」
日頃、販売促進課の女の子たちと、昼食を頂きながら、
確かに、おケイコの話をしていた。
彼女らは、課長に私を推薦していたらしい。
その上、先方も気に入ってくれているそうで・・・。
ワンフロアの電話の声は、たとえ課が違っても響く。
誰が聞いてくれていた!!!
失敗だと思っていた電話のやり取りは、思いがけないチャンスの扉だった。
我が課の課長も、就業時間中、他課へのレンタルを快諾してくれた。
(ら、ラジオCMですよ、ラジオ・・・)
この言葉を夢見心地で、つぶやきながら
上ずった声で電話応対をしたのは言うまでもない。
次は、出来上がる軌跡vol:8~本番ですよ、サミーさん です
2006年06月08日
出来上がる軌跡vol:6~後押し
授業料も馬鹿にならない!
何かのきっかけはないものか?!
やはり占い?
さて、公務員の仕事はそれなりに淡々と続き・・・
人様の税金の無駄遣いにならないように、粛々と作業を進める。
「それで良いのかサミー?」
そうこうしているうちに、震災。私は、ただただ電話番。
でもある方がこういったのです。
「あなたと話したから、元気に生きていけそうだ」
これ以上に人のお役に立っている実感がある言葉があるだろうか?
この日を境に、自分のためだった声の修行が、
誰かのために変わった。
誰かのために役に立つ声になる
今も行き詰ったら後押しになる想いです。
さて、いよいよ公務員を終える日が来た。
次の出発はどうしようか??
そこで電話に関する会社の門を叩くことにした。
いやはや、思いがけない展開があるものです。
その会社で想像もつかないチャンスがめぐってくるのです!
次回は出来上がる軌跡vol:7~失敗???
2006年06月07日
出来上がる軌跡vol:5~どの道なのか?
新聞各社それぞれに担当があるのだが、私が担当したのは毎日新聞。
その毎日だけに、何とアナウンススクールのスクール生募集の記事!
(そんなもの、こっそりコピーするに決まってます(笑))
そして証明写真を撮ってオーディション参戦。
あれれ、場違いでした。
年齢制限ぎりぎりで合格したものの、
美人でピカピカ

スクールの授業が始まるまで、目立とう作戦に余念がない。
黙々と練習する、私にはそれしかないのだ。
そんな中で、オーディションに声を掛けられるメンバー、
気後れして辞めるメンバーが30人の中からぽつりぽつり出始める。
私にも常に迫る公務員か声のタレントかという焦り。
さてここで4択です。
1 公務員にまっしぐら
2 タレントにまっしぐら
3 別の職業にまっしぐら
4 結婚にまっしぐら・・・
当時は、どれだって選べたわけだ。
そこにこれまた転機が訪れるのです。
次回は、番外編③ を・・・
2006年06月06日
出来上がる軌跡vol:4~当たるも八卦、当たらぬも八卦
「結婚の時期は?」「今の彼でいいの?」「どんな仕事が向いている?」
渋谷に行ったのも、初めて本格的に占ってもらいたかったのと
(300円のコンピューター占いしかしたことが無かった)
自分がどんなことに向いているか未来の職業を占って欲しかったから・・・。
占いの種類は、四柱推命と手相もろもろのミックス。
出てきたのは・・・?
「あなたは、人のために尽くす職業に就くだろう。
例えば公務員だとか、人の前に立つ仕事だとか・・・」
その2年後・・・。
散々マスコミ受験をするものの、橋にも棒にもかからぬ状態で
呆然としているときに、何と公務員の臨時採用の知らせ。
いやはや渋谷の占い師、やるではないか!
サービスという点では同じとはいうものの、もやもやしながら
公務員の職に就いた。
まるで、遠ざかったに見える声のタレントの道・・・。
ところが、さらに思いがけない出来事に出会うのだ!
次回は、出来上がる軌跡vol:5~どの道なのか? です。
<おまけ>

京都・貴船神社の結び文です。
本社で、水占いをした後は、上の方にある結社(ゆいのやしろ)に自分の願い事を書いた
紙を結びます。
一昨年の夏の占いの結果は「遅けれど、願い叶う」
うん、何となく納得です。水の神、縁結び人結びの神様として祭られています。
今年も、短冊奉納に行こうと思っています。
次の夢は、何と書くのか?自分でも楽しみです。
夜はライトアップもあり、おすすめ。
涼みと清々しい空気のスポット。
2006年06月05日
出来上がる軌跡vol:3~きっかけから一歩
CMの声を真似することくらいの私が、やっぱり面白そうだと思ったのは深夜放送。
ラジオは「ヤンタン」「ヤンリク」 TVは「MTV」
(あ、リクエストが採用されて、「てんびん座スプーン」を貰った事があります(笑))
その中に入りたい!という漠然とした思い。
東京で、晴れて女子大生になったら、そこに最も近そうな匂いのする
放送研究会というものに入会。
現実的に情報源が少ないだけに、まーっすぐに一番近そうだと思った次第。
そこで連日目の当たりにするのは、「大阪弁は標準語でない」という事実!
夕暮れまで発声の日々。。。
やがて、その年の冬にはあるラジオ局が催すコンテストに出場。
とうとう全国に、あまりにも稚拙なおしゃべりと審査内容が流れたのです。
結果は芳しくないのは当たり前だが、生涯に残る経験としてはビック過ぎる経験・・・。
「ん~たまんないなぁ・・・」という感慨と興奮、そして二度と会えないかも~~と思って、
審査員のピーター・バラカンさんに、頂いたサイン!
そんなこんなで、ちょろちょろと楽しく放送局の観覧のアルバイトに行ったり
発声したり、合コンしたり、発声したり、アルバイトに行ったり、合コンしたり・・・
を繰り返した。
ある日、渋谷のある喫茶店の奥で、コーヒーつきで占いをしてくれるという噂。
そこで、驚きの結果を得ることになる。
次回は、出来上がる軌跡vol:4~当たるも八卦、当たらぬも八卦 を・・・。

2006年06月03日
出来上がる軌跡vol:2~きっかけ
自分の言葉の環境を決定づけるらしい。母語とよばれる由縁。
住んでいた場所は、父の仕事の関係で淡路島。(おっ妙なにおいだぞ!)
聞こえていた音は、ムード歌謡とハワイアンとラジオ。
(ますます怪しい・・・)
両親は一切関西弁を話さない。
小学4年生の国語の授業・・・
「附子(ぶす)」という狂言を本読み。(教科書写真は、和泉元ヤ氏)
目立たない私は、みんなの前で褒められて天にも昇る気持ちに!
当時、可愛くて足が速くて、ゴム跳びが最高に上手かった奈美ちゃんという同級生に
26歳の時の同窓会で、「本読み上手かったもんね」といわれたっけな。
ゴム跳びは、どうやったって一番になれなかったから、数年後に褒められても
嬉しかったものです。
小学6年生、朝のホームルーム・・・
担任の先生が切り出したのは、私の妹の話。
「いもうとさん、お誕生日おめでとう。優しいお姉さんだね。」
先生は学校に来る途中、カーステレオで
「おはようパーソナリティ道上洋三です」(朝日放送)の番組で
私のメッセージが採用されるのを聞いたらしい。
みんなの前で褒められた私は、昇天。。。。
わたしが勇気を振り絞って発した言葉に、結果がついたこと。
これが何かやってみたいなぁと心に火が灯った原点です。
私って単純だわ・・・。
次回は、町で出会ったモノ 番外編です。

2006年06月02日
出来上がる軌跡vol:1~お道具
難しいなぁとつくづく思いながら・・・。
声のタレントが世の中に出るまでをちょっとお話してみようとおもう。
声タレントは、大きく分けると二つあるようだ。
一つは、顔出しオッケー!スポットライトを当てられてガンガン輝くタイプ。
もう一つは、コンマ何秒単位に燃えて作品を作るというタイプ。
私はどちらかというと、後者のほう。
そんな職人さん必携のアイテムがこれ!

ストップウオッチとアクセント辞典は共に2代目。
例えば、「有難うございます」をストップウオッチを使って念入りに測ったら
1~1.5秒。
んー1秒って長いな・・・。なんて、にんまりしてしまう。
因みに、ピピッと音がするものは基本的に使わない。
録音するときに、その音が入ってしまうからだ。
それからアクセン辞典は、地方出身者が標準語という恐ろしいアクセントと戦うときに助けとなる。
重いです、持ち歩くのは・・・。アクセント電子辞書が欲しいこのごろです。
ところで、小学校入学のときとか、幼稚園入園の時にもらう「お道具箱」
これを使い始めたときには、本当に嬉しくてマイお道具箱を持った気分だったなぁ・・・(しみじみ)
今は、辞書が折れ曲がり、ストップウオッチも、私の押し癖がついてきて、
自分だけの時間の重ね方が、愛しい道具達。
職人とかいいながら、意外と道具のいらない仕事なんです・・・。
次回は、vol:2~きっかけ について。。。
