出来上がる軌跡vol:35~あらゆるモノになる
○川急便のトラックがよく発している声は
「ガッツ石松」
(あ、いや
バックしますです)
これは
音声合成という。最近専ら多い仕事の一つである。
ある工場で、終業チャイムと共に
「お疲れ様でした。身体をやすめないと、効率の良い成果は生まれません。明日に備えて、ゆっくり身体を休めてください。」といったメッセージを流したいという依頼があった。
注文は、
疲れた身体に優しい母性を感じる声
かと思えば、あるときは冷蔵庫の声で
「ドアが空いています」
(注文:淡々と)
さらには、体重計
「ご飯一杯分のカロリー消費です。」
(注文:嬉しそうに)
「痩せる気あるんですか?」(注文:叱咤激励・怒って)
果ては、留守番電話、カーナビ・・・なんでもやった。
いつも注文は厳しい。手に取るお客様のことを最優先するから当たり前だ。
ただ、クロストーク(vol34参照)をするまでは、自分の思いがお客様に至るまでの余裕が無かった。
「モノだしなぁ」と思っていた。されど
モノである。
だからこそ、難しいし遣り甲斐も出てきた。彼とのレギュラー1年間の賜物である。
だが、実際の犬が注文通り鳴いてくれず、
「かわりに犬になってくれ」と言われた時は困った。
犬の気持ちなぁ・・・。(注文:
コロっぽく)
でも、コロっぽいと褒められました・・・(複雑)
出来れば、
人間の声の時に褒められたい・・・。
さぁ、次の注文は、モノだろうか人間だろうか?!
次は、
番外編36です
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