番外編vol:889~ディスクライバー

sammy

2011年10月27日 17:13

音声ガイドの勉強会が、またもやスタートしました。
今度の映画は、「英国王のスピーチ」です。

好きな映画を、「ここがよかった」「あそこは、ぜひ注目してください」などとPRする仕事は、番組などでもよくやりましたが、副音声台本となれば、話は別です。
種明かしにならないことも、感情移入しすぎないことも、その台本作家にかかっています。

今回は、1作品に14名の方が携わることになりました。
視覚障害モニターさんは、3名いらっしゃいます。

前回は、テンポの速い邦画だったのですが、今回は実話に基づくアカデミー賞受賞作品です。
史実として知っておかねばならないこともありそうです。

さて、当日。。。

あるセリフに、みなが引っかかりました。
「プラモデル」というセリフです。吹き替え版では、プラモデルと片付いていますが、観ると複葉機という飛行機です。
じゃあ、音声ガイドはすんなり「複葉機(ふくようき)」としたら良さそうですが・・・。

モニターさん「複葉機と聞いて、飛行機が好きな人は分かるけれど、どうかしら?」
ガイドメンバー「飛行機にしてしまうのはどうでしょう?」
ガイドメンバー「プラモデルがそもそも普及したのは、随分後ですからねぇ」
ガイドメンバー「主人公が、とても飛行機が好きだと伝わるには、複葉機としたほうがいいような・・・」

もともと作られている副音声は、場面の都合上、短い言葉で集約しなければならないこともありますので、
説明が要約されている場合が多いのです。その説明が上手い場合とそうでない場合がありますが。

その場所を担当する方の一任で、後日修正が入るわけですが、こうやって一場面一場面検証していくのですから、
簡単にはいきません。

今回、出来上がったガイドをナレーションするのは、学生さんです。
学生「ぼく、これまで読みにくいものは、自分でカットしていました。なんてことをしてしまっていたんだろう!」

もし、私が学生時代にこういう経験をしていたら、もっとナレーションに魂が入っただろうか。
・・・などと考えさせられました。

さて、次は私の担当箇所の発表が待っています。
なかなか難題山積の宿題ですけれど、ありったけを注いで、メンバーやモニターさんにそぎ落としてもらえるようなものを作れたらいいなぁと思っています。

ディスクライバーとは、特別な訓練を受けた副音声作家のことを言います。
視覚障害者が晴眼者と同じ場面で、笑い、泣き、感動するものを提供できる。

一歩でも、そこに近づきたいと思います!

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