出来上がる軌跡vol:64~楽屋裏で・・・
ホールデビュー前日のリハーサル・・・。(vol:62,63参照)
私の楽屋は、無かった。
・・・というのも、メイン司会の方が使われる楽屋があるのが本当で、一ナレーターは、適当に・・・ということらしい。
しかし、拘束時間も長いため、荷物はその司会者の入る楽屋においても良いとのこと。
さて、どーっと疲れた仕事後、舞台上で華やかに確実に司会をこなしておられた某局のアナウンサーにご挨拶に伺った。
ま、型どおりの「どうも」という挨拶に終わったわけだが・・・。
この世界は完全な上下関係が存在する。私ごときジャリタレントからみれば、舞台上のその方々は超ベテランである。基本的なことかもしれないが、帰宅はベテランさんが外に出られたのを見届けてから。
お帰りになったのを見届けてから、楽屋に荷物をとりに入ると・・・
鏡台に、ひとつのメモ。
「お先に帰ります。今日のあなたのお読みになったナレーションですが、○○のアクセントは、▲○※だと思います。ご参考までに・・・」
アクセント記号をつけてくれたそのメモ。
「聴いてくださる人がいる」
どんなに緊張し、どんなに小さい場面でも、大きな仕事のパーツ。
ねじが緩んではならない。見ず知らずの私に本当に有難いメモだった。
そして、当日丁寧に丁寧にそのメモどおりに発音し、無事終了。
後日、あまりに嬉しかったので、お礼のお手紙をしたためると、早速のお返事。「久しぶりに気持ちの良いナレーションを聴いたから、老婆心ながら・・・」とあった。
いつまでも指導者はいてくれないし、現場は厳しい。
ましてやお金を頂いているからこそ、出来て当たり前。
楽屋のないタレントは、また息を吹き返すきっかけをもらった。
その手紙は、引き出しに大事にしまわれている。
次は、めずらしきもの紹介です・・・番外編176をどうぞ。
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