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【オオサカジンからのお知らせ】

2008年10月24日

出来上がる軌跡vol:79~ワクチン

それにしても、一向に出来上がらない「軌跡」・・・。 
久々の更新。

師匠に突き返された原稿(vol:78参照)を帰宅後に眺めながら、途方に暮れる私。
言われた言葉が理解できないもどかしさ、それでもまた師匠の元にお邪魔したときには完成していないといけない気の重い宿題・・・。
何度読んでも、何度読んでも、気が晴れない。

宿題のやり方は人それぞれだが、私の場合は、自宅にあるマイマイクで、繰り返し録音し、再生し聞いてみるという作業。勿論原稿を深く掘り下げるという読解に似た作業がそれ以前にある。
本番の録音では、優秀なエンジニア達が私のつまらぬ声をありとあらゆる技術を使って「最高」に仕上げてくれる。
これが勘違いの始まりなのだ。我ながら、仕上がりにウットリしてしまうことがあるくらいだから・・・。

恐らくそこでエンジニアたちは思う。「こいつは、次回は使うまい!」
更に恐ろしいことに、現場は叱らない。叱れない。納期が遅れるから!!。

最早師匠の激は、高熱が出てからインフルエンザワクチンを打つようなもの。
多分、師匠はこの連鎖の説明をすることは容易かったと思う。
それを私に考えさせることが、今後を左右することを良くわかっていたから、突き返した。

さて、宿題が出来たか???

師匠は、決して「合格点」をくれなかった。

「及第点」

この説明に、言いえて妙な忘れられない解説をしてくださった。
たとえどんな仕事に就こうとも、全てに当てはまるのではないかというような貴重なものだった。
その内容とは???(vol:80に続く)  

2008年03月21日

出来上がる軌跡vol:78~輝き

 自分に輝きが無いことへの自己弁護に終始していたレッスン。(vol:77より)
師匠は、こう言った。
「振る舞いも、技術の一つ」

そして、最も問題なのは、私のこれまで身についてしまったナレーションの悪癖
邪魔をしていたのは、先に述べた自己弁護。
「どうせ・・・」「でも・・・・」「だって・・・・」
こんな言葉で自分を慰めれば、一歩も前に進むことはできないだろう。

そんな簡単なことも、ちょっと仕事をしてみてそこそこのものが出来上がってしまうと、見えなくなってしまうのだ。

そして、半年経った師匠からの年賀状には一言
「今年は、本音のトークをしてみては?」

え?いつだって師匠の前では本音じゃないか。

縁あって、大先輩が画面でレポートするものに対して、私がナレーション。
私のラジオ番組を聴いて下さった方からのオファーだった。

先輩は、「どうして、暗くなっちゃうんだろう・・・」
後日、VTRの私のナレーションにこう言っていたそうだ。
当の私は、落ち着いたまずまずのものが出来たと思っていた。

同じ原稿を持って、師匠のところで読むと。。。。

「あんたは誰や?次回、このナレーション、もう一度聴くから持って帰り!」

私の声に輝きが戻るのはいつなのか。。。。

次回vol:79に続きます。
  

2007年11月13日

出来上がる軌跡vol;77 ~特訓始まる

 出会うべくして出会った師匠との1対1のレッスンが始まった。
これでも、師匠に最初に出会ってから相当経っている。
多少は上手くなったと思ってもらえるだろう。。。

「なんや、その口の開け方は!」
いきなりの厳しい言葉。

この世界の入れ代わりはとても速い。
悔しいかな、ビジュアル的に成功しているタレントも多い。
私にできることがあるとすれば、技術向上しかないのに、のっけからこれである。

さらには、大きな鏡を持ってきて、
「あんたの髪の毛見てみ。重すぎる」
(えっ?!ビジュアルまでご指導??)

「新人のときのあなたは、もっと一生懸命に大きい声を出して、大きな口をあけとった。どうしたんや、元に戻ってるやないか」

その瞬間から、私は「あいうえお」の口の開け方からやり直すことになるのだ。
「基礎はもういい。」とどこかで思っていた自分を見透かされている。
しかも、一日「あ」だけをやり、合格したら「い」という風に、徹底的な指導である。

「あなたは、もうギャラを頂いて仕事をしている。急ピッチで直して次の仕事をもらわなアカン。覚悟していらっしゃい。」

まず自分をぺっしゃんこに壊さねばならないのだ。
果たして、師匠のスパルタについていくことができるだろうか。
くへとへとになって一回目が終わり、すぐに来週レッスンに向かうことになった。



  

2007年08月14日

出来上がる軌跡vol:76〜出会い2

叔母の病院に次に見舞いに行った時には、前回お話した隣のベッドの方は退院されていた。(vol:75参照)
叔母は、あれからその方に聞かれるままに私のことを話したそうだ。

すると…

「前に言ってた大ベテランとかいうタレントさん、あなたのことを知ってると言ってたよ!」と叔母。
前回書いたように、私はその方のお名前を伺ったがピンと来ない。
だが叔母によれば、その方には芸名があると言う。
「下のお名前は同じ」…これがヒント。
何だかぞくぞくしてくる!

そして、一年後に出会ったあるタレントさんから、今度は名字を教えて頂いてパズル完成!
私がまだスクール生の頃、ある場所でアドバイスを頂いた方だったのだ。

さらには、別のレギュラー局で同じ事務所のタレントさんに「もっと上手くなりたくて…」と話して紹介されたのが、またもやその方!!!
もう偶然ではない。必然としか思えない。

早速、レッスンをお願いする為にご挨拶に伺うことになった。
門下生を滅多に取らないと聞かされている。ドキドキの一瞬だ。
初対面ではないものの挨拶の声まで震えてしまう…。

師匠「よう来たな…やっと来たか」
私「…」
師匠「あなたが、いつか来ると思ってたわ」

師匠は、頭でっかちな新人ちゃんが、いつか苦労し、壁にぶつかることをちゃんと予見していたのだ!

これまでの全てをお話しし、すがりたい…。

晴れて、師匠との「面接」をクリアした私は、それから猛特訓に入ることになった。


※次回の出来上がるシリーズは、特訓について…。
そして、次は番外編です!  

2007年07月20日

出来上がる軌跡vol:75〜出会い

私が、アフター5のお稽古でスクールに入ったOL時代…。
同期達は、次々と「デビュー」か「辞める」の二者択一を迫られて行った。
私も、支払ってきたレッスン金額を計算すると愕然とした。
そして、バカバカしい!と一大決心で受けたオーディションで大当たりしてしまう…。

というタイミングで始まった仕事だったが…

前回書いたように、とてつもなく遠くにいる先輩方。ここに辿り着くには、再び勉強しなおすことが必要。
合格にかこつけて勢い良くスクールを飛び出した私に、最早身近な指導者はいない。

その頃新しい番組が始まるので…と集まった会議で…何となく「隣りに座りたい」と思わせる人がいた。
そして話を始めると「私は、あなたの名前を師匠から聞いたことがあるんです。あなただったんですね」とその人は言う。

私はキツネにつままれた気分??。

実は、そんな偶然はさらにそこから一年前にもあった。
アフター5のレッスン場と程ない病院に、ある日叔母が突然入院したと連絡が入った。
母は、自分が行くには遠いので、私に様子を見に行って欲しいと言う。
早速レッスン帰り、病室を訪ね、叔母に「レッスン帰りでね…」と習っている内容など他愛もない話をする。

すると…

隣りのベッドの方が、私の話しに割って入ってきた。
「私の住んでるマンションにも、あなたのやっているようなことを指導される大ベテランがいるよ」
「何という方ですか?」
「門下生を取らないことで有名らしいけれど、○○さんっていうわ」
私は、その方の名前を知らなかったので、「そうですか…」で話しは終わった。

ところが…
次に叔母のところに行くととんでもない事実を知ることになった。


※いっつもご無沙汰の続編
次回vol76より、少し「出来上がるシリーズ」頑張って書いてみます。  

2007年06月08日

出来上がる軌跡vol:74~見えたもの

(前vol:73続き) 
「そこにある私がやったソレ読んで!」

(ものまね王座決定戦で、本人が後ろから歌って出てくるときのコロッケの気持ち?!)
出す声は、見事に裏返った。
身体から滝のように汗が噴出す・・・。

数年前まで、お声を掛けることすらためらわれるほどの先輩の原稿である。
恐れ多いにもほどがある。
恐る恐るブースの外にいる先輩の顔とエンジニアさんの顔を見る。

2人は何やら談笑・・・
(め、めっちゃ気になるー!!!)

しばらくすると、その先輩が、違う原稿を持って現れた。
「今度は、コレ読んで・・・」

短い原稿である。どうやら、ラジオCMっぽい。

ところで・・・
録音には、色々なやり方があって、例えばとにかく本人の声を先に録音し、後から様々な加工を施す方法。
最初からBGMや効果音が流れる中、それに乗ってセリフを言う方法などなど・・・。

フリートークの仕事が圧倒的に多いわけではなかったが、私は後者の方が乗りやすい。
遣り甲斐という意味では、想像力を試される前者も好き。

私は、その時の雰囲気から、前者のみであろうと勝手に判断していた。
ところが・・・
BGMは流れてくるわ、効果音はついているわでそうとう凝った感じの音がヘッドフォンから流れてくる。たちまち、私は笑顔で(汗はたっぷりかいているんだけれど・・・)読み終えた。


おずおずとスタジオから出てくると・・・
先輩「まずは、MAさん(エンジニア)の感想をきこか。」
(もう、心臓は破裂せんばかり。収録のときより倒れそう・・・・)

MA「僕、この道に入って○○ちゃん(先輩)にであった最初の収録を思い出してん」
「この人な、凄かった。ひっさびさにええ仕事できたと思ってん」
「君の場合、稚拙なんやけれど完成度は違うねんけれど、『第2の○○』の匂いがした」
「ただし。こういうチャンスがある意味を考えなアカンで。ほんま好きなんやってことは伝わったで」

私は、硬直しながら涙がでそうな気持ちで言葉を聞いた。

その後、先輩とうどんを食べたがのどごしがいいはずのそれもロクにノドを通らなかった。
先輩は「好き」を「結果にする」ということを教えてくれているのだと今も思う。

「下手の横好き」「好きこそものの上手なれ」という便利な言葉もあるが、好きならば一瞬一瞬で結果を出していけということを教えられる厳しく愛情ある一瞬だったのだと思う。

それから私は、先輩と同じ収録でいつかお仕事ができることを夢見て、走り出した。
  

2007年05月13日

出来上がる軌跡vol:73~意外な場

(前回vol:72より・・・)
私は、先輩にこう切り出した…。
「得意ジャンルが分からないんです」

すると…

先輩「そもそも、この仕事好きなのかな?」
この言葉は、相当のショックだった。
「本当にすきなのね!」は活き活きやっている自分に対する最大の賛辞と感じていたから、その逆の言葉は、例えば自分の技術面はもとよりこれまでのことを全て否定されるくらいインパクトがあった。

そして、その日から私は、自分の過去を振り返り、「どうしてこの仕事を続けているのか?」「どうして、始めたのか?」「なぜショックだったのか?」を悶々と考え続けた。

なかなか答えが見つけられずにいたある日・・・

その当の先輩が、お誘いをくれた。
それも、自分のナレーション現場を見せてくれるという。
私は、京都に向かった。

その日の仕事は3本。
テキパキと要求どおりに終えていく先輩・・・。
私は、ただただ口をあんぐりと開けて、その技術に魅入るばかり。

驚くような速さで、一発仕上がりで仕事を終えた先輩が、「はい、スタジオに入って!」

もう何年も仕事をやってきて、見学は数度はあった。
でも、お金のかかったスタジオを、先輩の顔で入れていただき、マイクの前に座るということは実は無かった。

ところで、ナレーション制作には、大まかにいって次のようなお金がかかる。
1スタジオ使用料 
2技術加工料(ディレクターや技術屋さんの人件費も含め)
3著作権使用料
4ナレーターの技術料
 
その中で、スタジオ使用料は、結構な金額であるし、ましてやそれに電気を通して操作をしてくださる人件費まで言うと、よほどの限り厚かましくタダで使うことは皆無である。

その日、予定されていた収録時間は2時間。
先輩はそれを30分で片づけた。
要するに、私がスタジオに入れることを見越して、自分の持ち時間を切り上げるスピードで仕事をされたのだ。

先輩に指示されるまま、録音ブースに入る。
「声、出してみて!」

こんなときに、マヌケなのはマイクに対してあーあーしか言わない人間。
プロの場合は、即座に原稿読みに入るのだ。
・・・と見学の私に原稿があるはずもなく・・・・

と思っていたら、なんと!その先輩!
たった今しがた自分が読んだ原稿をそっくりそのままテーブルにおいている。

「そこにある私がやったソレ読んで!」

(ものまね王座決定戦で、本人が後ろから歌って出てくるときのコロッケの気持ち?!)
出す声は、見事に裏返った。
身体から滝のように汗が噴出す・・・。


※次は、番外編443。忘れた頃に出来上がる軌跡74にて続編です。

  

2007年04月10日

出来上がる軌跡vol:72〜得意ジャンル

いつも自分に限界ギリギリの仕事に挑戦し続けたはったり人生の私も、専門分野だからこそ、「出来る」と自信を持って挑まないと信用を得られないことを知った。

しかしながら、究めるという事に関して師匠が必要だった。
そんなある時、事務所の新年会が開かれた。最も苦手としていた集まりに思い切って出かけた。

私が一度は話してみたいと思っていた先輩方がわんさかいらっしゃる…。

「は、初めまして」
私はある先輩に声を掛けた。
意外にも、名前を名乗る私に先輩は、「あなたのこと、話題になってたの」と言った。

先輩方は、現場で次はどんな個性的な後輩が出てくるか、楽しみに事務所プロモーションCD(タレントの声を集めた音カタログ)を聴くらしい…。

「えっ?」

「あなたは、フリートークとナレーション…どっちがやりたいんだろう?って話してたの」

正に私の心を見透かした鋭い言葉…

何でもやりたい…何でもやりたい…何でもやりたい…

そう思ってきた。それは生活手段だからこそ。

本当は中途半端になる自分の危機感みたいなものを感じていたのだろう。

私は、先輩にこう切り出した…。
「得意ジャンルが分からないんです」

すると…





次は番外編でお楽しみ下さい  

2007年03月09日

出来上がる軌跡vol:71~舞台本番

 朗読劇の本番がやってきた。(出来上がる軌跡vol:70→カテゴリーより参照してください)
たった二人だけが舞台に上がり、30分ほどの朗読をやる。

 私は、リハでもとうとう「あたたかい」というセリフがつっかえた。
相手役は、諦め顔だ。

 さぁ、イントロが始まり舞台に出て行く。朗読はイスに座ってやる。
そのイスに、優雅に座って欲しいとの演出家の注文。

 ガガーっ

 優雅な登場はもろくも崩れ去る。そう、そういったちょっとしたことが最後まで運命を左右することは
この私が一番良く分かっている。幸先悪いことこの上ない。

 不安をかき消すように、自分のその時の最大の力を信じて、読みすすんでいく。

 (さぁ、次は例の問題のセリフだ)

 その時、自分の中の何かが叫んだ。
 (やっちゃえ!)

 「あたたかい・・・」 

 相手役は、いえたやん!という目。思わずニヤリの一瞬だ。

 終演後、相手役は一言・・・
「とうとう壁を破ったね。凄く響いたよ。だから自分も乗った」

 その物語のどうこうはともかくも、私自身が変わらなければ、人を感動させるようなことは到底できない。分かっちゃいたけれど、何か自分をセーブして安全圏に囲う自分がいたわけだ。

 私たちは、聴衆がどれだけ本の世界を想像して楽しんでいただけるか、
 相当な練習を積んで、物語の世界に近づかねばならない。
 
 これは、人から観れば小さな壁だった。
私にとっては、大きな大きな壁。
 壁に気がつくのは、実はとても幸せなことなのかも知れない。

 私は、マゾッ気があるのか、どうやら難しいことに挑戦する方向を選んだらしい。
次に挑戦したのは、自分の得意ジャンルを練り直すことだった。

 次は番外編356で、日常サミーをお楽しみください・・・。  

2007年02月18日

出来上がる軌跡:vol70~ひと皮剥く

 学生の「ひと皮剥ける実感」(vol69参照)という言葉は衝撃だった。
最も渇望しているはずなのに、日頃の慣れた仕事に新鮮さを見つけようとしなくなる自分を見透かされたような感じがしたからだ。

 そんな頃、同じ事務所のタレント仲間が朗読劇の舞台に立つという。
居ても立ってもいられない私は、同じ舞台に立たせていただくようお願いした。
 そこからが問題!
 朗読劇といっても、舞台である。
 私にとって生き恥をさらすようなものである。
 
 わずかな演劇系舞台経験は、幼稚園・キリスト様を導くお星様の役、自主公演の朗読ライブ(好きなことを出来る!)のみ。。。

 舞台練習に入った。完全な恋愛劇。
 通常恋愛でも、言ったことの無いようなセリフのオンパレード。
なおかつ、どーしてもいえない言葉があった。

あたたかい

 大事なセリフなのに、あったかいとしか言えない。
言葉に温度が無いからだし、自分が「言えている」と練習しなかった活舌の甘さ。

 そう、言葉は実感なのだ。
何でこんなことが分からないのだろう・・・
何で出来ないのだろう・・・

 とうとう、「あたたかい」は一度も成功せずに本番を迎えた。  

2007年02月07日

出来上がる軌跡vol:69~本番

 いよいよ卒業進級制作の本番がやってきた。(vol:68参照)
泣いても笑っても、この日がナマで最後である。

 ある学生は、演劇に・・・ある学生はラジオの生放送に・・・

 これは祭ではない。専門学校生の彼らの将来を垣間見るものでもある。
専門学校の講師で教えられたことは、忍耐である。
育てるためにギャンギャン言うのは簡単なのだ。言えば分かる相手ならなおさらである。

 でも・・・

 本当に大事なのは、夢を現実にしたいかどうか、学生本人が自分で考え、行動すること。
ここで、必ず数年前は同じ立場であった私自身のことも思い出す。
 
 「明日のご飯のお金を自分で生み出せるか?」
 「新しい仕事を、次につなげることが出来るか?」
 
 究極の自問自答を繰り返す毎日が始まるのだ。

 実際、こういうことを口を酸っぱく経験談として言っても、本人が経験しない限り、
現実的には、響かないということになる。
 専門学校の講師が難しいといったのは、それが初めからわかっているからだ。
 
 さて、本番はとにかく済んだ。
 本番を終えた学生が一言・・・
「こんなに夢中になれたことがなかった。ひと皮剥ける実感が欲しかった・・・」

 私は、この言葉は衝撃でもあった。
 レギュラーが続くと、「ひと皮剥けたい」という飢餓感が薄れるのだ。
そして・・・改めて、自分の実力を問い直す新しいチャレンジをすることになる。  

2007年01月25日

出来上がる軌跡vol:68~育てる

長らくご無沙汰の出来上がる軌跡。。。
現在のところ、今から3年前まで遡って話を続けている。
 
専門学校の学科立ち上げに関わってから初の卒業生を送りだしたのが5年前。
それから毎年、卒業生を送るまで学生個人の悩みを聞きながら自身の悩みと重ね合わせること数年。。。。

 講師のお仕事は、塾講師、朗読講師、話し方講座・・・何でもやるようになってきていたが・・・

一番難しかったのは、実は専門学校だった。
18歳から20歳くらいの学生が門をくぐる。
それぞれ家庭で、大事に育てられ自我もきちんと芽生えている立派な大人であり、中途半端な大人でもある。

 馴れ馴れしくお姉さんとして接してみたり、はたまた親代わりになってみたり・・・。
なだめすかして世の中に羽ばたくお手伝いをする。

 素直な学生は自分の限界も可能性も早く気づき、そこにどう対処するかを学ぼうとする。
それすら分からない学生は、「分からない」という本音を私たち講師に漏らすことも出来ず、もんもんとする。

 デビューして、もう10年は超えていた私も、この世界では全然新人なわけで、その世界の苦しい事情を知れば知るほど、彼らの悩みの全てを解決できないもどかしさにいらつく。

 「育てる」

 なんと難しい言葉・・・。

 立ち上げから2年経った1月のある日、彼らの卒業に関わる重要な制作発表の日を迎える。
マメに連絡を取り合い、深夜までマンツーマン・・・・。
しかし、しっくりこない・・・。何かが違う。担当教員は皆悩みに悩んで、気がつくとファミレスで
討議の末、朝を迎えた。

 夢とは何だろう・・・・???

 とうとう本番の日がやってくる。

   

2006年12月20日

出来上がる軌跡vol:67~講演、いざ!

 講演が始まった。(出来上がる軌跡vol:66参照)芸歴がそこそこあっても、講演とはいやはや驚きだ。
そのときは、自由にお話くださいとのこと。
ただし、持ち時間はきっかり60分。その前にさわりをきっかり2分くださいという注文があった。

 いやぁ。。。時間に関しては本当にラジオをやっていて良かった。
ストップウォッチを見ていてきっかり!というのには、慣れていたから。

 要は、内容である!

 朗読に興味のある年代のご婦人が揃っているということもあって、朗読の観点から見た言葉についてや発声についてお話した。
皆さま、真剣!食い入るように私を見つめている。

 あっという間にその日は終わった。
恐る恐る感想を後日頂いた。
  
 「○×▲の話が、よろしゅうございました・・・」
「これからもご指導いただきとうございます・・・」

 んー、誠に美しい言葉での感想でございました。

 たーっぷり汗をかいた私が帰宅時に思ったのは、「岩盤浴といい勝負くらい汗の出が良い」
という事実・・・。

 人間、いつなんどきも緊張が必要である。

次は、番外編227です  

2006年12月06日

出来上がる軌跡vol:66~講演会?!

 講演者のコーディネートや司会やそこで使う資料ナレーションという類のものがある。
 そこで見ていて感嘆するのは、講演する人の思慮深さや知識の豊富さ、話の運び具合の上手さ!
 これまで、そんな仕事を通して、違う分野の方を見て、勉強になることが度々あった。

 さて、当の私・・・。仕事はあっても、選ぶほど、余るほどあるわけでなし・・・
これまで、何でもやってきたが、生活は常について回る。だから、覚悟を決めたら何でもやる。

 が!

 来た仕事は、講演依頼
(ま、マジかよー!!)
司会ではなく、演壇に立つのだ。ありえない。

 早速打ち合わせに向かってみて、さらに卒倒!
依頼の婦人会は、名誉総裁が○▲宮妃殿下・・・とある。ハイソな方々のグルーブなのである。

 その日から、家でごめんあそばせなどと、言葉を矯正してみたが、
こそばゆくて、できそうもない。

無事、成功なるか?!

 次は、番外編212です。あ、ハイソでなく庶民派な番外編です。

 
   

2006年11月12日

出来上がる軌跡vol:65~カリスマ?!

 事務所に所属して8年が経過したころ、世の中はすっかりパソコンが浸透し、企業はPRをVTRからホームページに切り替えていった。
つまるところ、広告費の削減

 バブリーなころ、あらゆる企業が競ってVTRを作っていた頃と比べ、CMナレーションも明らかに減っている。
・・・ということは、私がやれば良かったようなランクの仕事も、上のランクの先輩方が涙を飲んで引き受ける状態になる。

はて???

生活のためには、とにかく与えられた仕事を、がんばるしかない。
・・・とそこに、思いがけない世界を覗く仕事をすることになる。
その世界のカリスマといわれているのは、秋元康中谷彰宏・・・。

出来るのか?私・・・?

次は番外編192です。  

2006年11月02日

出来上がる軌跡vol:64~楽屋裏で・・・

 ホールデビュー前日のリハーサル・・・。(vol:62,63参照)
私の楽屋は、無かった。
・・・というのも、メイン司会の方が使われる楽屋があるのが本当で、一ナレーターは、適当に・・・ということらしい。

しかし、拘束時間も長いため、荷物はその司会者の入る楽屋においても良いとのこと。

さて、どーっと疲れた仕事後、舞台上で華やかに確実に司会をこなしておられた某局のアナウンサーにご挨拶に伺った。
ま、型どおりの「どうも」という挨拶に終わったわけだが・・・。

この世界は完全な上下関係が存在する。私ごときジャリタレントからみれば、舞台上のその方々は超ベテランである。基本的なことかもしれないが、帰宅はベテランさんが外に出られたのを見届けてから。

お帰りになったのを見届けてから、楽屋に荷物をとりに入ると・・・
鏡台に、ひとつのメモ。

「お先に帰ります。今日のあなたのお読みになったナレーションですが、○○のアクセントは、▲○※だと思います。ご参考までに・・・」

アクセント記号をつけてくれたそのメモ。

「聴いてくださる人がいる」

どんなに緊張し、どんなに小さい場面でも、大きな仕事のパーツ。
ねじが緩んではならない。見ず知らずの私に本当に有難いメモだった。

そして、当日丁寧に丁寧にそのメモどおりに発音し、無事終了。

後日、あまりに嬉しかったので、お礼のお手紙をしたためると、早速のお返事。「久しぶりに気持ちの良いナレーションを聴いたから、老婆心ながら・・・」とあった。

いつまでも指導者はいてくれないし、現場は厳しい。
ましてやお金を頂いているからこそ、出来て当たり前。

楽屋のないタレントは、また息を吹き返すきっかけをもらった。
その手紙は、引き出しに大事にしまわれている。

次は、めずらしきもの紹介です・・・番外編176をどうぞ。  

2006年10月27日

出来上がる軌跡vol:63~ホールなのだ!

 ナマで、しかも大阪城ホールでナレーションをすることになった当日。(vol:62参照)
まず、大変なのは反響音。
マイクテストをしたら、わゎたぁしぃわぁぁぁ~ってなくらいに反響する。
その声が自分の頭上に降ってきて、相当驚く。いや驚くってもんじゃない。倒れる。

 私の異変に気が付いたディレクター、走ってきてヘッドフォンを貸してくれる。
ホっ・・・。

 さて、いよいよ本番!
私にキュー(合図)が出る。「陰アナ」といわれる、ご注意アナウンス。
しかし、私のスタンバイ位置は、楕円形大阪城ホールのど真ん中。
そこに、機材台(階段3段くらいの高さ)が、3M四方。
その上に、機材エンジニアが2名、フロアディレクターと機材ディレクター、隅にちょこりと私。
ヘッドフォンして、スタンドマイクを用意された私を、客席のオジサマたちは
しげしげと眺めて一言。
「大変ですなぁ・・・。」

陰アナちゃうやん!表アナやんかー叫び

政治家のお歴々が登場し、着席したらいよいよ冒頭VTRのナレーション。
そのころには、諦めの境地。
本来は、冒頭ナレーションが仕事だった。でも、当日の50ページの影ナレ台本を見たら、どうでも良くなるのだった。

当日の動員8000名。
麻生太郎さんも綿貫さんもお話になったその催しは、全国ニュースで放映された。
ナマは、魔物。。。。あらゆる意味で。。。。

そして、私はこうしてホールデビューを果たしたのだった。

次は、番外編170です!とうとうあの聖地に足を踏み入れるかサミー?  

2006年10月05日

出来上がる軌跡vol:62~ナマだったんだ!

 ラジオ経験は、生放送が殆ど。
ナレーションは当然録音。よほどのことが無い限り、生は無い。

 ある日、事務所から指名で来たナレーション・・・。
原稿で言うと一枚程度のもの。参考ビデオまでついている。

「しっかり仕込んでおけ」ということでもある。

さて、当日会場に行ってみると・・・
そこは大阪城ホール!
政治家のお歴々の札がおいてある。私が案内されたのは、観客席のど真ん中。

ん???

前日リハーサルに来てくださいといわれていたので、ここで簡易録音でもするのだろうと読んでいた。

「さぁテスト行きます。台本ありますか?」

だ、台本?(ペーパー一枚なのに、ご丁寧だなぁ・・・)

私「これならありますが・・・」

「・・・・それ・・・分かりました。先にそれをやりましょう」

(???)

「はい、キュー(合図)出したら、読んでください」

(え? 録音でないのかしら?雑音入るしなぁ)

「はい、じゃぁ当日もそれでお願いします。それから台本、後で持ってきます」

なぬ?!

そして、届けられたのは、50ページにも及ぶナレーション台本。
大半は、舞台進行の司会がやるのだが、突然ご案内ナレーションをしてくださいというわけだ。

録音でないってことに相当びびっているのに、当日にこの台本と来た!
(泣、泣、泣・・・)

大阪城ホールで、ナマである。あのエリック・クラプトンだって、マライアだって、みんなここでライブやったんだよ!そこでナマ。。。。卒倒しそうだ。

因みに、ナレーション録音はとても地味な作業。
トイレのようなボックスで、汗をはぁはぁかきながら、一心に原稿に向かうときもあるし、ガラスの向こうでしかめっ面したエンジニアさんの顔をびくびくしながらうかがうことももあるけれど、基本的に人がいない密室作業です。

なのに観客のど真ん中ってどういうことよーーーー!

4時間ほどのリハは終わり、どーっと疲れ。本番は果たして???

次は、番外編147です  

2006年09月29日

出来上がる軌跡vol:61〜言いやすい?

録音の次の日、電話…(vol:60参照)

この場合は、「お直し」か「お叱り」か「お褒め」の3択。
マネージャー「実は読んで貰った部分なんだけれど…録音し直しなんだ」

私「そ、そうなんですか…(暗い声)」
マネージャー「あ、いや、メーカーさんが今回使った言葉でメーカーさん自身が気に入らなくて変更したいところがあるらしいよ」

先輩方と合わせて4人の収録で、うち2人の原稿にはバッチリその言葉が含まれる。

そこだけを抜き出し出来ない作業だけに、もう一度収録と相成った。

因みにに、私はサラリと言葉を噛む(つっかえる)ことで有名?!

実は最初の収録時点でそこをつっかえていたので、メーカーも気にしていたのだろう。

言いやすい商品は、売れる。

…というより、私が上手くなれよっ!!
商品の言葉を変えてしまった女であった。

次は、番外編140です!  

2006年09月25日

出来上がる軌跡vol:60〜物知り顔

ナレーション…
長いもの、短いもな、怒鳴るもの、泣くもの…

実に様々である。

ある時先輩に、「ナレーションは、経験を再現するものである」と教えて頂いた。
が、経験したことが無い原稿が圧倒的に多い。

ようやくご指名仕事も増えてきた頃に、某住宅メーカーの新システム(いわば新商品)を紹介するビデオのナレーションオファーが入った。
私の役どころは、そのシステムを導入した家に住む主婦の吹き替え。

注文は、物知りで友達も納得するような説明をする人。

これぞ「知ったかぶり」
経験なんて、あったもんじゃない!

モノは、売れれば嬉しい「家」である。
先輩方との絡みがある中での録音。
ただでさえ、下手くそなのに、ますます焦る。

こういう時、現場で先輩方の原稿あしらいを盗まして頂くほかない。

どの仕事も、手とり足取りはド新人の時だけ。

そういうドキドキの中での録音が無事終わり、再生チェック。

すると、住宅メーカーさんの渋い顔…

取りあえずその日帰宅。
翌日、マネージャーより電話…
声が暗い?!

またもや心臓縮み上がる一瞬だ。
その電話は…

次は、番外編です!